ASEAN関連首脳会議で取り上げられるのが、中国人らの詐欺グループによる「人身売買」です。JNNでは、被害が急増している東南アジアの現場を取材しました。
6月、フィリピン警察が中国人の詐欺グループを摘発した際の映像。逃げようとする中国人らに警察官が威嚇発砲し、身柄を拘束しました。
グループは「違法なことは何もしていない」と主張しましたが、パソコンや大量のスマホのほか、武器なども押収されました。
いったい、何が行われていたのか。私たちは捜索を受けた“アジト”に向かいました。
記者
「巨大なビルが1、2、3と、そして奥にも。いくつもありますね。敷地は高い壁によって覆われていますし、入口も厳重なつくりになっています。かなり異様な雰囲気ですね」
見張り台もある刑務所のような一角。周辺住民によると、5年ほど前から中国企業などが建設したといいます。
周辺の住民
「あのビルはオンラインのギャンブルを運営する場所だった。ボスが中国人のグループだ」
中国人グループはここで、フィリピンのオンラインカジノを隠れ蓑に、投資詐欺などを行っていたとみられています。さらに…
今回、摘発されたグループには中国人のほかにも、アジアやアフリカなどから集められた2000人以上の“労働者”がいました。彼らは、高収入をうたう求人広告などにだまされ連れてこられた、中国人詐欺グループによる「人身売買」の被害者とされています。
こうした「人身売買」は、中国国内での取り締まりの強化を背景に、東南アジアを中心に急増。特に、中国と国境を接するミャンマーでは、クーデター後の情勢悪化も相まって、多くのグループが暗躍しています。
先月、ミャンマーを拠点とする詐欺グループから逃げてきたタイ人の男性が、JNNの取材に応じました。
タイ人の被害者
「SNSではレストランの仕事と紹介されていたのに、連れていかれたのは詐欺グループのオフィスでした。やりたくないと言ったら部屋に閉じ込められ、チェーンで縛られました」
だまされ連れてこられた人たちは、監禁や拷問を受けながら犯罪に加担させられます。男性も、中国人らにオンラインカジノを使った詐欺を指示され、厳しいノルマを課されたといいます。そして…
タイ人の被害者
「何度も何度も殴られました。『働かなければ山に連れて行き、銃で撃ち殺す』と言われたので、とっさに川に飛び込み、泳いで逃げました」
中国人らの詐欺グループによる「人身売買」は、ASEANの関連首脳会議でも大きな議題の1つとなっています。
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